パシフィックゲームズ

Pacific games。南太平洋に浮かぶ島国を中心とした総合競技大会で1963年フィジー島で始まり現在は4年ごとに開かれている。34競技が行なわれているがハンドボールは含まれておらず、2013年、国際ハンドボール連盟にこの地域から多数がメンバー(オセアニア大陸連盟に所属)となったことで、15年パプアニューギニア、19年トンガでの大会から実施を働きかける。大会名は70年代までは南太平洋競技大会(サウス・パシフィックゲームズ)と呼ばれていた。

パン・アメリカンゲームズ

Pan american games。51年アルゼンチンで第1回が開かれた国際オリンピック委員会公認の国際総合地域競技会。4年ごとに約30ヵ国が参加、20以上の競技が行なわれる。ハンドボールは男女とも87年の第10回から実施され、アメリカ、キューバが強みを示したが、90年代に入ってブラジルが男女で躍進、アルゼンチンも成長を示している。

パン・アメリカン・チームハンドボール連盟

Pan american teamhandball federation。略称PATHF。73年に設立されたが、アメリカ、カナダが中心となって「パン・アメリカン選手権」は64年から(74年まで男子のみ)開かれていた。この両国は国内で「チームハンドボール」と呼ばれ、そのまま連盟名となった。80年代以降、南米勢が拡充され、14年2月現在、加盟国数は26。北・カリブ海、中、南の3地域に分かれ、各選手権が開かれている。会長はマリオ・モシア(アルゼンチン)、事務総長はエクトール・フェルナンデス(チリ)。

パン・アラブゲームズ

Pan arab games。53年エジプト・アレクサンドリアで第1回が開かれ9カ国がハンドボールなど10競技を行なった。
65年から11年間、76年から9年間、99年から5年間など休会も再三あったが04年の第10回から3〜4年ごとのサイクルを安定させている。15年の第13回はレバノンの予定。

「パラパン」

相手ディフェンスの前に攻撃側の選手が壁(パラパン=ルーマニア語)をつくるようにして並び、シューターのロング攻撃を助けるシステム。

ペーパーテスト

審判員資格を取得する時に行なわれるルール解釈を主とした記述試験。

パルティル・カップ

Partille cup。 スウェーデン協会がヨーロッパ連盟の支援を受け毎年イェーテボリ近郊で開くジュニア、ユースの超大型国際的サマートーナメント。
10才以下クラスから21才代表クラス(「ヨーロッパオープン」と呼称される)まで男子各9部門に合わせて世界各国から1000を越す参加があるマンモス大会で、06年男子21才以下クラスで日本ジュニアがヨーロッパの単独クラブをおさえ優勝している。
63年、地元クラブが運営していた大会をスウェーデン協会がサポート、国際色も強まり70年代には台湾、韓国チームが積極的に参加、台湾勢は85、89年に5部門で優勝を飾ったことがある。50以上のコートが用意されるなど大会風景は壮観とされる。

パス

味方のプレーヤーにボールを送ること。ハンドボール競技の基本であり、主体であり、魅力である。

パッシブプレー passive play

攻撃側が積極的に得点を狙おうとせず、無用なパスやドリブルを繰り返す活気に乏しいプレーをいう。レフェリーが判定、相手のボールに変わるが、レフェリーは攻撃あるいはシュートしようとしない意図の兆(きざし)を察知した時、予告の合図を出して積極さを促す。
「時間かせぎ」のプレーは、ハンドボールを見る楽しさを失わせるものとして以前から課題とされ、テレビ界の発言力が強まるにつれいっそう問題となった。現代のボールゲームは「スピードと継続にある」とされ、この判定もその流れにそったものだ。
攻撃促進のため自軍のボールとなってからシュートまでの時間を限定しようとする動きも強く、「45秒ルール」の採用が確定的と報じられた時期もある。

パスワーク pass work

パスの技術、てなみ(腕前)。

P.A.T.H.F

パン・アメリカンチームハンドボール連盟の略称、略記。

北京(ペキン)オリンピック

中国の首都・北京で08年8月8日から8月24日まで開かれた夏季大会。中国でのオリンピック開催は冬季を含めて初。ハンドボール(男女)の会場は市北部に形成されるスポーツセンター「オリンピック・グリーン」内の新設ホールで優勝は男・フランス、女・ノルウェー。中国は男・予選リーグ敗退、女・6位。日本は不参加だった。ベイジンオリンピックに同じ。

北京(ペキン)オリンピックアジア予選再試合(再予選)

国際ハンドボール連盟は07年12月17日パリでの理事会で、07年8月アルマトイ(カザフスタン)で行なわれた女子、同9月愛知県豊田市で行なわれた男子の北京オリンピックアジア予選の全試合が担当した審判の資格、試合(大会)運営で著しく公平性を欠いたとして議論、採択(挙手)に持ち込み、多数決で両予選の結果を無効とする前代未聞の決議を行なった。
これにより男子クウェート、女子カザフスタンのオリンピック出場は白紙に戻され、国際ハンドボール連盟が「再予選」を実施するとした。アジアハンドボール連盟は激しく反発、「再予選」の開催を引き受けたり参加した場合、ペナルティを科すなどとした。
08年1月29、30日東京(国立代々木第一屋内競技場)で行なわれた「再予選」には男女とも日本、韓国のみが出場、いずれも韓国が勝ち、オリンピック代表権を手にした。
不当を訴え続けるアジアハンドボール連盟は2月中旬スポーツ仲裁裁判所(CAS、スイス)に持ち込み、3月19日ローザンヌ(スイス)で仲裁が行なわれた。その結果「再予選」の男子は有効、女子は無効と裁決されカザフスタンの北京出場が認められた。
「再予選」の異常さが内外メディアの関心を集め、とくに国内ではオリンピックイヤー初頭の事件として取り組まれた。かつてない「ハンドボール報道」が活字、電波メディアに躍り、フィーバーは1ヵ月以上に及んだ。
一般の興味も高まり「再予選」の女子は4206人、男子は10257人の観客が詰めかけた。

ペナルティ

ルールに違反した行為へ課せられる罰則。

ペナルティスロー

7mスローの旧称。7mスローに同じ。

パフォーマンス performance

試合で示された技術、戦術。成果、実績などの意もある。

パフォーマンスプレース performance place

国際ハンドボール連盟が直近の大会の実績を基に大陸別に割り振る枠の数。実績出場枠前回実績出場枠に同じ。対比はコンパルソリープレース(義務出場枠)。

ペリメーターゴール perimeter goal

9mライン(フリースローライン)の周辺あるいはその後方(外側)から射ちこんだシュートによる得点。得点の形態、種類を表わす用語。

ピリオド制 period

非公式の試合で、競技時間を3つ以上に分けて行なう方式。1ピリオド15分〜20分が標準的(インターバルは5分)。最近では地中海ジュニア選手権(男女)が3ピリオド制を採用、旧ソ連はユース大会で特定のピリオドを両チームとも「マン・ツー・マンDF」で行なうとしていた。3ピリオドの場合、第2ピリオドの終わったあと、第3ピリオドのスローオフを決めるトスを行なう。

PF

Prefecture Federationの略。都道府県協会を指す。

フィシオテラピスト Physiotherapist

マッサージや特別な運動などを施す理学療法士。チームスタッフに加えられる。

ピックアップチーム

複数のチームから有力選手を集めて編成したチーム。

ピストン・プレー

ボールを持つ選手に対し、守備側の1人がチェックし、ほかの1人がバックアップ(フォローアップ)する前後の動きによる連携プレー。

「ピルエット」シュート

04年エジプトの第1回世界ビーチ選手権でヨーロッパ各国が「2点シュート」として多用したジャンプシュート。ボールを持って空間へ踏み切り360度回転しながら放ち、成功すれば「2点」の評価が与えられる。09年のワールドゲームズ(台湾)から「スピン・シュート」の呼称に代った。
語源は「pilouette」(バレエなどでつま先旋回すること)とされる。最初に開発したチーム(国)は不明。馬術競技の用語に同名のテクニックがある。

ピッチ pitch

ボールを投げ渡すこと。

ピボット pivot

@片方の足を基軸(ポイント)として動かさず、一方の足の動作で相手選手をかわすプレーAポストに同じ。

ピボットシュート

ポストの選手がピボットプレー(=前掲)から左右いずれかへ方向を切り返しながら放つシュート。

プレースメント placement

順位、位置。

プレー

競技(試合)での動き。

プレーアブル playable

「プレーができる状況」「プレーに適した状況」の意で、個々の動きの基本的な狙いとする考え。攻防両面でチームが有利な展開となるため「プレーアブルであること」「プレーアブルになること」「プレーアブルに仕向けること」を心がける。「プレーアブルなゾーン(スペース)」といった意味を持つ。

プレーダウン play down

順位決定のための再戦。プレーオフ(=後掲)に同じ。

プレーヤー player

競技者、選手。

プレーイングコーチ(プレーイングマネージャー)

選手とコーチを兼ねている人。国内では「監督兼選手」などと呼ばれる。

プレーオフ play off

順位決定のための再戦だが、主に優勝を決定する場合に組まれる試合、日程を指す。本来は同点などで決着しなかった場合の再戦を指す。

プロンジョンシュート plungeion shoot

58年からゴールエリアの“上空”におけるプレーが認められ、この空間に飛びこむ(plungeion)プレーが一気に開発、ハンドボールに立体的な面白さと、豪快、曲芸的魅力を生じさせた。野田清によるサイドからのダイビングシュートなどが代表的だ。倒れ込みシュートの技術も高度化している。

ポイント point

@得点Aプレーを再開するコート上の場所B大会や試合の見どころC勝負の流れを左右した攻防の分岐点D講習、練習の要点E勝ち点、引き分け点、参加点。

ポイントゲッター

数多くの得点をあげる選手、和製英語。ゴールゲッター、メインスコアラーなどとも呼ばれる。

ポイントオーバー

スローを行なう選手が、踏み入れることを許可されない場所に入ってしまうこと。スローを行なう選手がスローする前に(ボールを手から離す前に)基準足がフロア(グラウンド)から離れること。

ポンポン pom-pom

応援用の玉房。

プール pool

大会の組み分けなどの1つのかたまり。グループに同じ。

ポジション

@選手が受け持つ位置(持ち場)。ゴールキーパー(GK)とコートプレーヤー(CP)の攻撃陣形では9mライン(フリースローライン)近くを「バック」としてセンター(=ミドルバック)、バックレフト、バックライト、6mライン近くの中央をポスト(=後掲)、レフトウィング、ライトウィングと名付ける。バックは国内では「45度」と呼ぶことも多いA2人のレフェリーのそれぞれの“位置”Bチーム内の役職C順位。

ポスト

@攻撃側にとってゴール前のゴールエリアライン中央付近の“場所”から攻撃を行なう選手(=ポストプレーヤー)Aチーム内の部署、役職B後(あと)を表わす。

ポストマッチファンクション

試合後両チームの健闘を讃え再会を約すため両チーム選手、OB、OGなど関係者、その試合の担当レフェリーなどが一堂に会して交歓するささやかなパーティー。定期戦などに多い。

ポストプレー

ポスト(前掲)を中心に攻撃するプレー。

ポストプレーヤー

ポスト(=前掲)から攻撃を行なう選手で、身長、体重とも大型選手を配置することが多い。同時に2人を配すセットプレーは「ダブルポストフォーメーション」

ポストシーズン

公式シーズンの終了後。対比はプレシーズン

ポストスタンプ

ハンドボールを図案に用いた内外の郵便切手や特別の消印。大会を記念して発行される場合も多い。ハンドボール切手に同じ。

ポストシュート

ゴール前のゴールエリアライン近くから放たれるシュート。

ポット pot

壺(つぼ)、鉢(はち)をいい、シード順別にこのなかへチーム名を記したカードなどをいれて抽せんする。シード数だけポットが用意されるが、1つを使い回すこともある。

パワーヒッター powerhitter

ジャンピングによるロングシュートなど豪快な攻撃を得意とする選手。和製英語。

パワーハウス powerhouse

強豪、強力チームのこと。

パワープレー powerplay

相手チームが反則退場によってコート上の人数が少なくなっている間の有利な攻撃状況。本来はゴールキーパーをコートプレーヤーに代えて総攻撃を仕掛ける捨て身のプレーを指す。

PRC

国際ハンドボール連盟の専門委員会(コミッティ)の1つ。競技規則・審判委員会。英文の正式名称はCommission of Playing Rules and Referees。委員は7人、委員長はマンフレッド・プラウゼ(ドイツ)。

プレイベント pre-event

大会などの前景気をあおるため行なわれる各種の催し。出場選手によるサイン会、撮影会、トークショーなどのほか、協賛の文化行事もいう。

プレ・オリンピック pre-olympic

国際オリンピック委員会は、この表現の大会やイベントを認めていない。ハンドボール界ではオリンピックの大陸別予選をこのように呼ぶときがある。オリンピックの前哨戦やリハーサル大会はプレトーナメント、テストイベントなどという。

プレリミナリーラウンド preliminary round

原則として「予選リーグ」を指す。あるいは決勝リーグ前の「予選試合」。順位決定のための「予備試合」。

プレシーズンマッチ

公式大会(公式リーグ)の開幕前に組まれる調整、親善、興行色の濃い大会、試合。

プレゼンター presenter

賞金、賞品などを贈呈(授与)する人。

プレジデントカップ(会長杯)

公式大会で決勝ラウンドに進出できなかったチームのため、大会期間中に主催者の会長が贈るカップ、トロフィ、プレートなどを懸けて行なう競技。国際ハンドボール連盟は07年1月の第20回世界選手権(ドイツ)で採用。国内でも敗者トーナメントとして行なわれるイベントが多い。

プレス press

報道関係者、言論界、あるいはその関係者。

プレスセンター

報道関係者の作業のために設けられる場所。記録の配付、記者会見、記者発表、インタビューなどが行なわれる。メディアセンターとほぼ同意語。小規模な場合はプレスルームと呼ばれることが多い。

プレスカンファレンス press conference

記者会見。

プレスディフェンス

ディフェンスが攻撃側に近寄ってフリーの状態でプレーさせないようにし、ボールを奪うために圧力をかけるシステム。最近はプレッシャーと呼ぶことが多い。

プレスオフィサー

主催者側の報道対応担当者。プレスアタッシェ(フランス語 attache)とほぼ同意語。

プレスリリース press release

団体(日本ハンドボール協会など)がマスコミに対して行なう情報の提供。ニュースリリース、ハンドアウトなどと同意語。

プレッシャー pressure

圧力をかけること、重圧を感じさせること。詰めの早いディフェンスなど戦術面でも用いられる。「プレッシャーを感じた」などとも使われる。プレスディフェンス

プライベートトーナメント private tournament

クラブ、単独チームが主催して開く大会。ヨーロッパではフランスのUSイブリイによるシャレンジ・マーレーヌ、スイスのイエロー・ヴィンタースールによるイエローカップなど高名な国際大会が数多く行なわれている。
国内では県協会、市協会、日本リーグ加盟チームなどが主催する大会が増え、企業などスポンサーを得ているのが目立つ。

プライズ prize

賞。

プライズマネー

賞金。2013年の男子世界選手権では優勝国が50000ドル、2位30000ドル、3位20000ドルだった(13年の女子も同様)。プライベートトーナメントもヨーロッパでは賞金付き大会が多い。日本リーグは13年の第37回大会から導入。金額は優勝100万円。

プロフェッショナルプレーヤー

国際ハンドボール連盟は94年の総会で、史上初めてプロ選手にも参加資格を与える画期的な決定を行なった。「プロ」とはハンドボール活動で報酬を得て生計をたてていること。ヨーロッパの有力国は男女ともシーズン毎にその数を増している。
日本ハンドボール協会は01年2月、登録規程に「プロ競技者」の項目を設けたが、現在は削除されている。

プログラム

大会や試合の運営計画。日本ではあらゆる内容を収録したパンフレット(pamphlet、小冊子)を呼ぶ場合が多い。ヨーロッパでは記念品的な豪華さより簡便さが発行の軸となる。

プロロンゲーション prolongation

同点で競技時間を延長すること。延長戦エキストラタイムに同じ。

プロジェクト、プロジェクトチーム project

特別な計画、企画。そのため編成されるチーム。日本ハンドボール協会は、オリンピック参加を目指す強化、事業開発のプロジェクトチーム常設を検討中だ。

「プロジェクト21」

日本ハンドボール協会が03年6月に公表した「21世紀の日本ハンドボール像」構想。愛好者・ファンの拡大、小学生層への普及、地域での振興、競技者の増加、財源の確保、各分野での国際進出、代表チームの強化と世界的実績などが骨子。04年、05年に2回の加筆が行なわれている。

プロテスト protest

試合後の抗議、意義の申し立て。国際的な規定では試合終了後60分以内に文書で500スイスフラン(03年12月規定)を添えて申し出られる。

プッシング pushing

相手を手や身体で押す反則。

プッシュパス

身体の前から両手で押し出すようにして投げるパス。

プッシュシュート

ゴールエリアの中に飛びこみ、両手でボールを胸の前から押し出すようにして行なうシュート。プロンジョンシュートの一種。

プ(パ)ニッシュメント punishment

罰則のこと。警告退場失格追放などがある。