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あと一歩…の惜敗。カタール戦レビュー


第27回世界男子選手権の1次リーグ・グループCの第2戦が行なわれ、日本代表・彗星ジャパンは日本時間で1月17日の23時半からアジアのライバル・カタールと対戦しました。

スタートメンバーは初戦同様にRW元木博紀、RB渡部仁、CB東江雄斗、LB吉野樹、LW土井レミイ杏利、PV笠原謙哉という並び。GKは岩下祐太で、DFには成田幸平が入って笠原とともに中央を守ります。

渡部の突破から先制点をあげた日本は、5分5-3と先行。カタールは日本OFの出足を止めるために、DF隊形を高めの6:0へと変更し、圧力をかけてきます。

OFでは右バック、右サイドを務めるなどフル回転した渡部だったが、ややシュート精度を欠いた

OFでは右バック、右サイドを務めるなどフル回転した渡部だったが、ややシュート精度を欠いた
(写真提供:Yukihito Taguchi / JHA)

 

日本はそれにもうまく対応しますが、カタールのセンター、フランキス・マルツォを止められません。彼を抑えるべく髙野颯太を投入した5:1DFもなかなか効果が出ず、打ってよし、自分で突破してよし、パスしてよしと三拍子揃うマルツォに振り回されます。

それでも、前半の日本は退場者が出た時間帯にGK坂井幹が7mTをセーブしたり、粘り強く守って失点をゼロに抑えたりと簡単にはやらせず、前半を16-15と1点リードして折り返します。

しかし、昨年1月のアジア男子選手権で対戦した際にも、17-16と1点上回って後半に入りましたが、後半の入りが悪くあっという間に引き離されて敗れた苦い過去があります。

その教訓を活かしたいところでしたが、後半は出だしでやはり苦戦。5連続失点を喫したうえに、後半初得点まで6分以上を要してしまいます。

原因の1つがカタールのGKの好調ぶり。シュートまでは幾度も持ち込むものの、主戦GKのダニエル・サリッチではなく、彼が不調で前半途中から出場していたモハメド・アビディがことごとくセーブします。

これまでの日本であれば、ここからズルズル引き離されたところですが、この試合は違いました。前半同様になかなか止められないマルツォに東江がマン・マークにつくと、カタールのペースを乱すことに成功。

7/8と決めまくって日本の追い上げに大きく貢献した土井

7/8と決めまくって日本の追い上げに大きく貢献した土井
(写真提供:Yukihito Taguchi / JHA)

 

クロアチア戦では後半にブレーキとなってしまったキャプテンの土井が、それにまったく引きずられないメンタルの強さを見せ、次々とチャンスを決めていきます。

後半15分に一度は20-25と5点離されたところから、日本は怒涛の6連続得点で23分27-26と再逆転。そのまま競り続けながら終盤まで進み、29-30で迎えた残り約1分というところで、右バック徳田廉之介からポスト吉田守一へ、というポーランドコンビで7mTを獲得します。

投げるのはここまで4本の7mTをすべて決めている東江。

対するカタールは、ここでこの試合当たっていなかったサリッチが登場してゴールマウスへ。

駆け引きから股下へと投じた東江のシュートを、サリッチが見事というしかないセーブで止めて同点はならず。

さらにカタールは、このあとのOFで右サイドまでしっかりずらして、アラディン・ベラシェドがフィニッシュ。29-31として勝負を決めます。

カタールが2015年の地元世界選手権のために強化に力を入れだして以降、日本がここまで競った試合はありませんでした。試合をとおしてチャンスも作り続けました。しかし、日本は後半中盤までGKに当たりが出なかった一方で、カタールはメインGKのサリッチがダメでも、もう1人のGKアビディが好セーブを連発。その差が明暗を分けました。

1次リーグ最終戦は日本時間で1月19日(火)の23時半から。ここでアンゴラに勝てば1次リーグ突破が決まります。