【vol.6、14年3月号】ブラジルの先導に続け
第21回世界女子選手権(2013年12月・セルビア)でのブラジル優勝は、久々にヨーロッパ勢以外の国による快挙となり、リオデジャネイロ−東京とオリンピックがヨーロッパを離れて開かれることもあり内外の関心を集めている。ブラジルのもたらした成果を探ってみた。
残り1分、ブラジルの優勝が確実になると、国際ハンドボール連盟(IHF)の幹部たちは満足の表情とともに握手をかわした。中央席にはトミスラヴ・ニコリッチ大統領のほかセルビア政府の要人が顔を揃え、場内を埋め尽くす1万9467人のほとんどは地元サポーター。
熱狂の包囲の中で、中立であるべき主催者が遠慮がちながら喜びを隠さなかったのには、理由があった。
どこからともなく聞こえてくる「ハンドボールはヨーロッパに偏ったスポーツ」という風評。マスコミの一部も「男女ともに世界選手権よりすべての面でヨーロッパ選手権の水準が高い」と指摘していた。
IHFはこうした声が“定着”するのを警戒、発展途上国への支援策や、ヨーロッパを除く4大陸の振興を積極化しているが、表舞台の世界選手権で展開される“実態”は隠しようがない。
その暗雲を、ブラジルが払いのけた。1次リーグから無敗の快進撃で、第12回(1995年)の韓国以来、ヨーロッパ大陸以外の国での勝者となったのだ。
1938年に始まった男子の世界選手権では、いまだに遂げられていない。