【vol.4、14年1月号】東京の主役は現役大学生
大学側も変わる好機
自国で開催される世界最大のスーパーイベントに向け、思い切った強化を。
そんな視点に立てば、大学生が長期で大学、チームを離れてNTC(味の素ナショナルトレーニングセンター、東京都北区)での合宿や海外遠征を行なったり、かつて04年のアテネ・オリンピックをめざして若手選手をスペインに送り出し、その中から宮﨑大輔選手(大崎電気)が台頭したような、これまでは実現が難しかった強化策が望まれる。
こうした強化を実現させるためには、13年11月号で日本協会・津川昭強化本部長(当時)が指摘していたように、学生の講義への出席や国内日程との調整、資金面などがクリアすべきハードルとなる。これらを日本協会が主導して取り払い、最高の環境を整える必要があるのは言うまでもない。
と同時に、大学生を送り出す大学側も、講義、大学の試合の合間に代表活動、といった従来のスタンスで考えていては、20年に向け、ますますボルテージが上がる国全体の盛り上がりの中で、ハンドボールは埋没してしまうだろう。
学生の本分を考えれば、長期で大学を離れるなら休学するのが筋だろうが、海外遠征先でもインターネットを利用して、講義を受ける、といった新しい方法を検討している大学もある。
そういった意味では、大学側がいかにトップアスリートをサポートできるかも重要な要素。スポーツ、体育を全面に押し出している大学、学部ならばなおさらだろう。
ハンドボール部だけの問題ではないとはいえ、東京オリンピック後も見据え、大学も変わるチャンス、という機運が巻き起これば、より未来は明るくなってくる。
一体感を醸し出したい
14年の春には、13年にスタートしたU-22東アジア選手権の第2回大会が香港で開催予定。また、15年7月、韓国・光州で開かれる第28回ユニバーシアードでは、ハンドボール競技の採用が決まっている。
14年に入ってより明らかになるが、この大会への出場権が、14年8月、ポルトガルで開催予定の男子第22回、女子第10回世界学生選手権にかかるとなれば、いっそう大学生への注目が集まる。
大学生が主役となり、意識を高められる大会が続くのも、20年に向けて好材料だろう。東京オリンピックに向けての動きが、一部の限られたエリート選手だけのものという雰囲気に包まれる可能性もあるが、試合での活躍ぶりやコンディション、成長度などで判断し、その都度、入れ替えを活発にしてより多くの選手が東京をめざすチームにかかわれば、一丸ムードを高められるはず。
今回(13年)の全日本インカレで、アンダーカテゴリーの代表選手がいない中京大男女が多くのタレントを擁する男子・日体大や女子・筑波大を撃破し、男子が準優勝、女子が3位と躍進したように、全国の大学生がトップアスリートを刺激し続ける姿勢も欠かせない。
従来から日本一に輝く学生チームは、コートに立つ主力だけでなく、控えのBチームが充実していたり、コートの仲間に声援を送る応援席にも魅力的な人材がいた。
20年、国立代々木競技場でスポットライトを浴びる主役だけでなく、Bチームの役割を演じて彼、彼女たちを刺激したり、応援席からの声援などさまざまなサポートをする大学生が、どれだけ生まれてくるかも、東京オリンピック本番のカギを握ってくる。
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