力強く宣言「世界最高峰リーグをめざしていきたい」一般社団法人日本ハンドボールリーグが4月から始動
日本ハンドボールリーグ機構(JHL)は、今年4月から「一般社団法人日本ハンドボールリーグ」となり、日本ハンドボール協会から独立します。
これにあたって、その初代代表理事として、昨年まで日本バスケットボール協会理事やジャパン・プロフェッショナル/バスケットボールリーグ(Bリーグ)の執行役員を務めていた葦原一正氏が内定し、その内定記者会見が2月17日、東京のJAPAN SPORT OLYMPIC SQUAREで開かれました。
リーグの一般社団法人化、さらに、その初代トップにビジネス業界とスポーツ業界両方で抱負な経験を持つ一方で、ハンドボール界とは関わりのない人物を人選したことでメディアの注目も集めました。
記者会見では、最初に湧永寛仁・日本ハンドボール協会会長から「かねてから議論してきたが、昨年、JHAが法人化することが決まった。法人化の目的の1つは意思決定のスピードを早めて、リーグの価値向上に結びつけること。
そのために必要な初代理事を選考するにあたっては、閉鎖的なイメージから脱するために、第三者委員会(役員候補者選考委員会)を設置した。
その委員長に間野義之さん(早大スポーツ科学学術院教授。一般社団法人トップリーグ連携機構常務理事など)になってもらい、公正に、ハンドボールの発展に寄与できる人物を選んでもらった。
それが葦原さん。彼のもとで、(JHLが)子どもがハンドボールをしたいと思えるような、そしてJHLが世界に肩を並べるリーグになれることを期待している」と話しました。
続いて役員候補者選考委員会の間野委員長から、選考過程についての説明がありました。
「昨年12月に委員会が発足し、7人の委員のうち、外部から弁護士、税理士、学識(間野委員長)と、リーグ運営に直接関わらない人間を半数入れて、選考を進めた。
どんなマインドの人が組織をけん引し、事業拡大やリーグの収益最大化ができるのか、などの観点から、16項目の評価基準を設けた。それを各4段階で評価する形で、最終的に3人をピックアップし、その中で最もこの基準に合致した、最も◎が多かった葦原さんを初代代表理事としてふさわしいと結論し、日本リーグGM会、日本協会理事会へと報告した」(間野委員長)
そして、葦原代表理事が、まずは受諾の理由を説明。
「この話をもらった時、最初は悩んだ。ハンドボール界は内輪もめをしているという印象を抱いていたからだ。しかし、それでも受けた理由としては、大きく2つある。
まず1つ目は、業界全体の変革意欲を感じたから。具体的には、日本協会の中にあったJHLの運営機能を独立化させて最初の代表理事選定にあたり、極めて公正なプロセスを経て人選をしたこと。選考委員の委員長が外部の人間(間野委員長)で、その委員長を中心に選んだ。日本のスポーツの世界で、ここまで大胆に外部の人の話を聞いて選考をしたというのは驚きだった。(そこに意欲を感じて)最終的には私でよければという気持ちになった。
2つ目は、ハンドボール界の潜在能力の高さだ。競技人口が9万人いたり、ほかにもいろいろな数字を見ていて、だいたいバスケットボールの5分の1ぐらいかなと。ただ、世界でもヨーロッパを中心に人気が高いし、伸びしろが大きいと思っている。また、アリーナスポーツかつ団体スポーツはビジネスの伸びしろも大きいということも魅力の1つ。野球やバスケットボールの世界を見てきた経験からも、ハンドボールは極めて大きなポテンシャルを持っていると感じている。
この2つが受諾の理由だ」
続いて、今後の動きについて以下のように語りました。
「課題を整理すること、ガバナンスの整備などルールを明快にすること、そのうえでビジョンやバリューを策定すること。この3つをまずはしっかりとやりたい。いろいろと期待されていることもあるとは思うが、まだ各チームの関係者にも会っていなので、4月になってスタートしたら、まずは全チームを回ってあいさつができれば。そのうえで、課題を認識し、その中で優先順位をつけて問題解決を図っていく。
そして、ハンドボールの価値を高めるためのビジョンやバリューを策定し、事業基盤のプラットフォームを作る。そういうものをすべて整えて稼ぎにいく。そうすれば強化などにも積極的に投資できるだろう。
ただ、そうしたことを早くやりたいとも思っているが、いい意味で焦らずじっくり進めていきたいという気持ちがある。なぜなら、ガバナンスという部分ではスポーツ界は難しくて、全会一致じゃないと進まないところがある。それは尊重するけれども、民主主義の原則に則って、多数決で進めていくことも必要になっていくと考えているからだ。そのために『いい緊張関係』というのを各チームにも説明していきたい。時にはジャッジすることも大切。私の強みは色がついていないので、フラットに判断できるところだ。
事業として成り立つものを、もちろん作っていきたいし、それがほかの競技にたいしても希望になるような、さらには社会にとってもいいものに、国際的にもプラスになるようなものにしていきたい」
そして、最後に力強く「100人いたら99人に笑われるかもしれないが、ハンドボールの世界最高峰リーグをめざしていきたい。野球やサッカーでも、世界との事業規模の差は結構大きい。でも、ハンドボールはそこまで大きな差ではないと思っている。海外に日本の選手が挑戦することも大事だが、世界のスーパースターが日本に来るようなリーグにしたい。できないというとそこまでだけど、社会への影響力も世界最高のリーグになれるように、そのためにどう進んでいけばいいのかを、みなさんとともに議論していきたい」と「めざすは世界最高峰リーグ」を掲げました。