【vol.5、14年2月号】ソウル五輪・開催国の成功に学ぶ
スピードと持久力と
─日本チームをどう見ているか?
「ゲームはスピードと持久力とをバランスよく身につけていないと勝てない。例えば日本女子は前半はとても強い。今大会でもそうでした。
しかし、前半の終わりから消耗していきます。
ハンドボールのゲームは旅行に例えることができます。出発から全体の時間を見とおして、1時間10分後に、どのように目的地に到着するかを考えなければならないのです。失礼だが、日本のチームは、伝統なのかウォーミングアップが長いと思います。ウォーミングアップは、肩慣らしであり、精神的にも試合の準備をする時間です。1時間10分後を見とおしたアップでなければならないと、私は考えます」
─東京オリンピックまでに、日本が取り組むべきことについて、アドバイスがあれば。
「これは日本だけではなくてどこの国でも、勝つためには、また、勝つチームを作るためには、特別な考えを持つ人が協会にリーダーとして存在することと、また、特別な考えを持った監督がいることが大切で、それを周囲がサポートできるかどうかということです。
成功するためには、つねに新たな変化を求めていくことが肝心です。普通のトレーニングからは普通の結果しか生まれません。特別な結果がほしかったら特別なトレーニングが必要なのです」
上に掲げた表は、ソウルオリンピックで金メダルを獲得した韓国女子の軌跡だ。この期間は、これから日本が歩むタームとほぼ同じ。
この表の「85年10月の世界ジュニアでの2位」に韓国の周到な強化プランと準備、また、その実行力が垣間見える。
◆鄭亨均(チョン・ヒョンギュン)氏プロフィール◆
【肩書は掲載当時】東アジアハンドボール連盟会長、韓国体育大学教授。バルセロナ・オリンピック金メダル(92年)、95年世界女子選手権金メダル、アトランタ・オリンピック銀メダル(96年)時の韓国女子代表監督。