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FILE6  フランスの新鋭コンビ  ニコラ・カラバティック&ミッシェル・ギゴウ

                         
                  

 NIKOLA KARABATIC(左)

 PERSONAL DATA

 生年月日/ 1984年4月11日 21才(2005年6月20日現在)
 身長・体重/ 195p・102s
 ポジション/ バックプレーヤー
 所属クラブ/ モンペリエ(フランス)
 公式国際試合/ 57試合出場229点 
 第19回世界男子選手権での個人成績
   9試合387分出場 43点(16位) シュート成功率61% 


 MICHAEL GUIGOU(右)

 PERSONAL DATA

 生年月日/ 1982年1月28日 23才(2005年6月20日現在)
 身長・体重/ 179p・78s
 ポジション/ サイド
 所属クラブ/ モンペリエ(フランス)
 公式国際試合/ 48試合出場174点 
 第19回世界男子選手権での個人成績
   10試合373分出場 48点(9位) シュート成功率76%

 世界選手権やオリンピックなど国際的なビックイベントは各国にとって新旧交代を示す舞台にもなる。ドイツ、スウェーデン、ロシアといった伝統国は、チームを大幅に若手に切り替えて大会に臨み、結果はともかくとして“新生”をアピールしていた。一方で、この大会を最後に1つの世代に終焉を告げた国も少なくはない。

 平均年齢28.7才、参加チーム中2番目に高齢だったフランスもそうした国の1つだ。

 「Merci Jackson(ありがとう ジャクソン)」。大会最終日に、フランスサポーターから感謝のボードを掲げられたのは、世界的なスーパースター、ジャクソン・リシャーソン。大会前に、この大会を最後に代表からの引退を表明していた彼にとって、最後の大舞台だった。大会後、正式に代表引退セレモニーを行なったリシャーソンに続くように、34才のアンクエティル、33才のケルバテックらが代表引退を表明した。彼らは、95年、01年と世界制覇に貢献、フランスの黄金期を支えたメンバーである。フランスにとって、1つの時代に終止符が打たれた。

 しかし、若い芽も確実に育っている。2大会連続の3位は、ベテランたちの最後の“奉公”だけがもたらしたものではない。チーム内得点ランキングの1、2位を占めたのは、23才・ギゴウ、21才・カラバティック。大会前の公式国際試合出場はともに50試合以下という、新鋭コンビだった。

 179pと小柄なギゴウは、技巧派サイド。サイドプレーヤーに求められるテクニック、シュートの正確性を備えている。サイドシュート、速攻、7mTと高い決定率を誇った。23才と若いが、プレーに落ち着きがある。顔色1つ変えずに、15本中、13本を沈めた7mTの場面にそれが表われていた。
 チーム最年少のカラバティックは、パワフルなバックプレーヤー。100sを超える体重を活かし、DFの間に強引に割ってはいる突破力が魅力だ。9mラインからのロングが9点に対し、ブレーキングスルー(カットイン)は18点。強引な突破は、7mT獲得や相手DFの退場にもつながるなど、チームへの貢献度は高かった。

 この新鋭コンビが頼もしいのは、チームにとって大事な場面で力を発揮できること。大会2日目にギリシャに黒星を献上、苦しいスタートとなり、予選突破も危ぶまれたフランス。予選最終日のデンマーク戦に勝たなければ2次リーグへ進めないというところまで追い込まれていた。この大一番で、ともにチーム最多となる7点をマーク。ピンチを救う原動力となった。また、準決勝進出がかかった2次リーグ・スロベニア戦でもギゴウが最多の8点、カラバティックも5得点で続いた。
 今大会の彼らの活躍ぶりを見れば、ベテランたちも安心して代表に別れを告げられたのではないだろうか。

 伝統国、強豪国と呼ばれる国々の底力は、若い力が次々と生まれていくところにある。そして、そのきっかけが世界選手権やオリンピックという大舞台になることも珍しくはない。ビッグイベント観戦の際には、将来スーパースターになる可能性を持った“原石”をチェックすることも忘れないようにしたい。