FILE7 “2m”のサイドマン ヨナス・カールマン
JONAS KALLMAN
PERSONAL DATA
生年月日/ 1981年7月17日 24才(2005年7月20日現在)
身長・体重/ 200p・96s
ポジション/ 左サイド
所属クラブ/ シウダー・レアル(スペイン)
公式国際試合/ 66試合出場187点
第19回世界男子選手権での個人成績
9試合333分出場 40点(20位) シュート成功率66%
日本が世界で戦う上で、半永久的なテーマとなるのが、サイズ、パワーの違いである。今大会に出場した日本のメンバーの平均身長は184.1pで平均体重は85s。それに対して、全24チームの平均身長は188.5p、平均体重は89.6sである。日本が大きく劣っているのがわかる。(身長は全体の18位、体重は20位)。
サイズの違いはすなわち、リーチの差になり、打点の高さの差になる。日本国内の試合を
見慣れたものにとっては、驚きを覚えるシーンが少なくない。国内での常識に当てはまらないのだ。
常識外という点で、今回紹介するカールマンは象徴的な存在かもしれない。200p、96s、本場でもトップクラスに入るサイズを持った彼のポジションはウィング(サイド)なのである。
日本ではまず考えられない選手だ。第一、日本には2m級の選手などほとんどいない。そして、もしいたとして、その選手のポジションがサイドであろうか?いや、 本人が好むと好まざると指導者や周囲の人は、彼にエースポジション、もしくはポストを与える(押しつける?)のではいだろうか。
このあたりが、世界の強豪との大きな差なのかもしれない。サイドというポジションに限った場合、カールマンのサイズは決して標準サイズではない。むしろ、世界でも稀な存在だと言える。世界でも、サイドは、このコーナーで紹介したガルシアのように180pクラスの選手が主流である。
世界でも異質な2mのサイドマン。しかし、プレーに決して違和感はない。確かにこの選手はサイドで力を発揮する選手なのである。大柄だが、決して鈍重ではなく、スピードは充分だし、テクニックも、技巧派揃いの世界のサイドマンの中で際立ってこそはいないが、見劣りもしない。
そして、武器はやはり高さである。GKにとっては、2mの高さから放たれるサイドシュートはほとんど受けたことがないだろうから、アドバンテージになるのは間違いない。さらにサイドから上に上がってのロングシュート。現代ハンドボールではよく見られる場面だが、カールマンのそれは、打点の高さがあるから、一層効果的である。実際、今大会でも9mレンジから11本狙い、6本を沈めている。
他にも190p超のバックプレーヤーがわんさかいるという、日本には羨ましいばかりの事情があるのは確かだ。それでも、2mの選手に、恐らく彼の希望通りにサイドをやらせてしまう頭の柔らかさは、日本も見習わなければいけないだろう。
大会パンフレットの自チーム紹介にスウェーデンはこんな文章を載せていた。「スウェーデンは、サッカー界のブラジルと同じ存在である」。世界で唯一、すべての世界選手権に出場し続けているハンドボール王国の懐は深い。