歴史を作りかけた一戦に。クロアチア戦レビュー
エジプトで13日に幕を開けた第27回世界男子選手権。
日本男子代表・彗星ジャパンは1月15日のクロアチア戦が開幕戦となりました。
前回大会でも1次リーグで同組となり、27-35で敗れていました。昨年1月のヨーロッパ選手権準優勝と、直近でも実績を残している強豪国を相手にどこまで戦えるのか。今大会の日本を占う大切な初戦となりましたが、われらが彗星ジャパンは、いい意味で周囲の期待を裏切る戦いぶりを見せました。
序盤から足がよく動き、中央をしっかり締めたDFを披露すると、OFでも司令塔・東江雄斗(大同特殊鋼)を中心にセット、速攻で得点。前半12分7-2と最高のスタートを切ります。
クロアチアは初戦ということもあってか動きに精彩を欠き、出足鋭く圧力をかける日本DFの前にミスを連発。ボールがつながらず、さらに日本のGK岩下祐太(トヨタ紡織九州)も好調だったため、左腕マルティノヴィッチの豪快な単発ロングや、体格で優るポスト・マリッチでしか容易に得点できない状態に。
日本のシグルドソン監督は、まだフル代表経験の浅い徳田廉之介(タルヌフ/ポーランド)や、国際大会初出場となる水町孝太郎(豊田合成)、髙野颯太(筑波大)らも積極的に起用しながら、前半終盤まで狙いどおりに試合を運ぶ手腕を見せます。
もったいなかったのはその終盤。17-13で迎えた残り30秒、水町の突破から7mTを得ますが、ここまで素晴らしい活躍を見せていた東江のシュートはポストに嫌われます。返す刀でクロアチアが速攻から決めて17-14と3点差で折り返すことに。残り5分に時点まで5点差をつけていただけに、ややイヤな形で後半に入ります。
後半に入ると、ギアが上がってきたクロアチアが、「ここで勝てる」と確信したか、しつこくポストとの2対2を仕掛けることで活路を切り開こうとします。日本DFはよく対応しますが、バックプレーヤー陣全員がポストパスをちらつかせながらのプレーに長けるクロアチアOFに苦戦。
また、前半途中からゴールマウスに入ったGKペシッチが後半にぐんぐんと調子を上げたことで、日本の得点が伸び悩みます。
そして後半20分。エース・ドゥヴニャクのゴールでついに24-24と同点に追いつかれる展開に。これまでであれば、前半のリードを追いつかれた時点で力尽きていくことも多かった日本ですが、この試合では違いました。
試合終盤まで集中力が高く、逆転だけは許しません。残り3分という場面で水町が2分間退場を受けるピンチも無失点で乗り切り、残り1分で吉野が中央を割って勝ち越しゴールを打ち込みます(29-28)。
歴史的な勝利まであと1分というところまで来ましたが、やはり相手もさるもの。残り17秒。最後まで止められなかったポスト・マリッチへのパスから7mTを奪取され、これを名手チュピッチに決められて惜しくもドロー決着となりました。
Player of the matchにはチーム最多の5得点をあげ、日本OFをよくコントロールした東江が選ばれました。
大きな大きな1勝をあげるには至らなかったものの、このグループで一番力があると目されるチームからの勝点1もまた、大きな成果。この試合がフロックでないことを証明するためにも、日本時間17日23時半から行なわれるカタール戦が重要です。