ラジオ放送

1941年1月19日、兵庫・甲子園南運動場で行なわれた第3回全日本東西対抗(男子)がNHKによって全国放送されたのが最初(注・当時はNHKという呼称はなく、大阪放送局が正式)。41年6月にはNHK岡山が第4回同県女子選手権を中継(県内)している。

ラフバル Raffball(ドイツ語)

近代ハンドボールのルーツの1つといわれるドイツのスポーツ。1890年代、スポーツクラブや学校で盛んに行なわれていたラグビーフットボールに似た球技。1チーム14人。raffは「ひったくる」という意味で「スナッチボール(snatch ball)」と英訳されている。1910年代に入ってベルリンの女性団体が女子用にアレンジ、「トーアバル(torball)」を生み、さらに19年、ドイツの体育教官カール・シュレンツがトーアバルを改良してハンドボールとした。いずれも屋外スポーツ。
トーアバルが女子向けの球技であったことから、ハンドボールは「女子の球技として発達した」といわれるが、正確ではない。むしろラフバルの勇壮さ、豪放さを持ち合わせているといってよい。この精神は室内(7人制)にも受け継がれている。

ランキング ranking

順位付け。

リバウンドボール rebound

放たれたシュートがGKゴールに当たってフィールドに跳ね返ってきたボール。

レッドカード

レフェリーによって失格を示される赤色のカード。カードの大きさは12p×9pと規定されている。

レフェリー referee

審判員。現行では2人によって試合が進められ、全般の管理、ルール違反の判定を行なう。2人のレフェリーは互いにサイドを変えるため動き「コートレフェリー」「ゴールレフェリー」と名付けられた立ち場を受け持ちあう。2人の権限は同等。

レフェリーボール

レフェリースロー(=後掲)に同じ。

レフェリング

レフェリーが試合の管理を行ない、選手の行動を公平に“監視”すること。

レフェリー・イヤホーンセット

両レフェリー間、レフェリー・テクニカルデレゲート間などを結ぶため装着するイヤホーンと小型マイクロホンの小型軽量セット。判定の確認や競技運行をスムースにするのを目的とし、09年1月の世界選手権(クロアチア)で実用化。

レフェリースロー

両チームがボールを奪いあい、どちらとも判定がつかなかったあと、両チーム1人ずつが向かいあい、レフェリーが、その中間にボールを投げあげ“最高点”に達した時、競技再開となる。

レフェリーウェア

レフェリーが着用する衣服で黒一色が望ましいとされているが、現代はそれ以外の色も認められ、世界選手権などでは独自のデザインが多くなっている。日本ハンドボール協会制定のウェアもある。

レ(リ)ジョナルゲームズ regional games

国際オリンピック委員会が、4年にいちど、地域的な国際競技会として開くことを認めている大会。アジア競技大会パン・アメリカンゲームズアフリカンゲームズ地中海競技大会などがあり、いずれもハンドボールは正式競技として実施されている。

リージョナル登録

日本ハンドボール協会のチーム登録種別の1つ。都道府県内大会だけに参加資格があり、予選を含んだ国民体育大会には参加できない。

レギュラー

一般的にそのチームで常時試合に出場する主力選手を指す。

レギュラーシーズンマッチ

定められた期間に行なわれる公式試合。

レギュレーションマッチ

組織によって規定され義務づけられた特別の試合。「入れ替え戦」が代表的なケース。

リマッチ rematch

試合のやり直し。屋外コートの試合で荒天に見舞われ途中中止となり、改めて最初から再試合するケースが多い。北京オリンピックアジア予選の再試合でもこの表現が使われた。

レンタル rental

チーム間の合意に基づく選手の期限付き移籍をいう俗語。

リプレースドプレーヤー制度

Replaced Player。オリンピックや世界選手権など参加人数が制限されている大会で、期間中に登録を入れ替えて出場できる選手をあらかじめ届け出ておく制度。
大会によって回数や人数は異なるが通常は最大2回、各回1〜2人。届け出る選手数には制限のないことが多い。入れ替わった選手の再入れ替えはできない。登録・記録用紙などでの英文略称はRPL。

リターンパス

進んでいる(走りこんでいる)方向と逆の方向へ送るパス、そのプレー。

リスタート

反則のあとフリースローから攻撃再開すること。スローインやゴールスローからのシーンは当てはまらない。

リザルト

試合結果のこと。

レトロオリンピック retroolympic

レトロ・オリンピック=懐古調の総合競技大会として、2003年からドイツのスポーツ団体が始めた。2年おきに開かれている。ハンドボールは「男子11人制」が実施され、旧東ドイツ勢のクラブが多数参加する。

連勝

1つのチームが公式戦で勝ちつづけること。国内で高い評価を得ているのは男子・芝浦工業大学(東京)による全国タイトル6個を含む47連勝(59年7月〜60年11月)、女子・大洋デパート(熊本)による全国タイトル16個を含む51連勝(68年8月〜72年12月。地方大会は含まず)。このほか、51年から52年にかけての名古屋市立桜台高校(男子11人制)の対高校チーム53連勝、日本体育大学女子チームの対学生89連勝(61年〜68年)、大阪体育大学男子チームの対学生69連勝(92年〜94年)などが話題となった。
いずれも日本ハンドボール協会やチーム側からの発表ではなく、マスコミによって調査、報道されたもの。引き分けをはさんでの無敗記録は「連勝」としない。

リオ・デ・ジャネイロ・オリンピック

2016年8月5日から21日まで開かれる第31回夏季オリンピック。ハンドボール(男女)などの28競技が行なわれる。
「リオ」はブラジル南東部の州、世界的な観光地。南米でのオリンピックは初。ハンドボール会場はオリンピック公園に特設される「ホール4」の予定。16年大会は東京も立候補していたが落選。

立教大学(東京)

第2次大戦直後、同大学体操部のなかで活動を行なう異色のスタートを切り、46年11月正式に「部」として独立、47年3月発足した同大学の体育会の設立メンバーとなる。関東学生リーグ加盟は47年春で秋以降の2部制導入を促した。50年春1部で初優勝、51年秋の優勝によって東西学生王座決定戦へ初参加、学生界屈指の実力校となった。OBを加えた「セントポール」が52年の全日本総合選手権優勝を果たし、この流れは50年代の「全立教」へ引き継がれた。62年の世界学生選手権へ参加した選手が、ヨーロッパの最新技術を持ち帰り母校の充実に活かし、7人制(室内)の戦術・技術史上特筆されるべき足跡を残している。大学チーム全盛期の最後を飾る強豪だ。全日本学生選手権優勝2回、全日本(東西)学生王座決定戦制覇3回、関東学生リーグ優勝10回。

「陸軍戸山学校」

校内の体育実技として30年代初期からハンドボール(11人制)が「投球戦」の名称で採用し、33年2月に規則書(ルールブック)を発行した。22年日本に伝来後、学校体育での実施以外で活動された貴重な記録である。
同校は1875年に独立し、1920年代から競技スポーツの導入に積極的な姿勢を示し、ハンドボールも「球入れ競争」型のスポーツの1つとして評価を得ていたとされる。

リマニッチ Ivica Rimanic

イヴィツァ・リマニッチ。06年4月から07年10月まで日本男子代表監督。クロアチア、ノルウェーの両国籍を持ちヨーロッパ、アジアで代表チーム、有力クラブを指導してきた。来日前はサウジアラビア代表監督。56年11月ユーゴスラビア(旧国家)生まれ。

ローリングオフェンス rolling offence

攻撃方法の1つ。コートプレーヤー全員があらかじめ打ち合わされている位置を連続的に移動しながら相手守備陣を揺さぶり、マークのずれを誘い攻撃チャンスを生み出しつかむ方法。

ラウンドロビン round robin

総当たり戦(いわゆるリーグ形式)のこと。駒鳥(robin)が木々を飛び回る姿から1チームが参加している各チームと次々に競技する意へ転じた。1回総当たりはシングルラウンドロビン、2回総当たりはダブル…、3回総当たりはトリプル…と呼ばれる。

RPL

リプレースドプレーヤーの英文略記。

ルール

規則、一般的には競技規則。原型は46年7月、新結成の国際ハンドボール連盟によって作成され「47年版」と呼ばれた。11年ぶりの見直しだった。現行は「2001年版」。「国際競技規則」(rules of the game)はフランス語、ドイツ語、英語で発行され、解釈の相違が生じた場合は語版を優先する。改訂は4年ごとに国際ハンドボール連盟総会で承認され、原則として翌年8月から施行となる。
日本で最初のルールは国際アマチュアハンドボール連盟制定の36年版。47年版の採用は50年秋。草創期の22年から約15年間は20年ベルリン体操連盟の手がけたルールを基本とし、学校体育向きに工夫されていた。日本で最初のルールブックは35年7月、日本陸上競技連盟によって草案として発行された。7人制(室内)ルールは38年に全訳されたが、日本ハンドボール協会によって正式に“発表”されたのは52年2月。

ルーキー rookie

新人選手。初心者の意味もある。

ロスター roster

登録選手名簿。一般的に名簿。

ルールブック

競技規則書。日本ハンドボール協会は30年代後半、設立の準備を進める一方、37年4月に36年版の国際競技規則を翻訳し、全国の体育関係者へ領布した。それ以降、原則として2〜4年ごとに発行、現在は「競技規則必携」(解説書)も刊行されている。日本最古のルールブックは35年10月、日本陸上競技連盟によって発行された。28年版の訳書という。それ以前は、学校体育用に要点を書いた簡単な配布物が多かった。

ランナーアップ runner up

第2位のチーム。個人成績などで第2位の選手。次点。

ランニング・タイム running time

通算時間。試合開始からの経過時間を示す場合、日本では前、後半で分け「後半12分」などと表記(発表)し、マスコミの報道もそれにならうが、ヨーロッパなどでは「42分」とする。

ロシア

91年、劇的なソビエト連邦(ソ連)の崩壊により独立した15共和国の1つとして“誕生”。93年国際ハンドボール連盟に加盟、ソ連時代のような挙国的な強化体制は弱まったが、男子は00年シドニーオリンピック、93、97年の世界選手権、女子は01、05年の世界選手権で優勝を飾り伝統の力を見せた。ソ連協会の設立は28年。その歴史を引き継いでロシア協会は03年12月「75周年」を祝った。