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HANDBALL A to Z
作成・杉山茂&スポーツイベントハンドボール編集部 2014.04.15Version
これまでハンドボール用語といえば規則(ルール)、技術・戦術用語が主でした。ハンドボールファンの拡大、内外情報の多彩化などで、用語は極めて多範囲となり、新たな解説が求められています。この企画はそうしたニーズに応えるものでスポーツイベント・ハンドボール誌(月刊)を読んでいただく場合の手引きともなります。外来語が多いためアルファベット順に日本語用語(ローマ字読み)と史上特筆すべき業績を残した内外のチーム、人物も加えました。年数は西暦、項目表記は英語系のみとしてあります。競技規則用語は「日本ハンドボール協会競技規則平成25年版(2013.12.16発行)」を参考にしています。1~2年ごとに追加、補充、修整など改訂を重ねていく予定です。個人の敬称略。
〈禁無断使用転載〉

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ラジオ放送

1941年1月19日、兵庫・甲子園南運動場で行なわれた第3回全日本東西対抗(男子)がNHKによって全国放送されたのが最初(注・当時はNHKという呼称はなく、大阪放送局が正式)。41年6月にはNHK岡山が第4回同県女子選手権を中継(県内)している。

ラフバル Raffball(ドイツ語)

近代ハンドボールのルーツの1つといわれるドイツのスポーツ。1890年代、スポーツクラブや学校で盛んに行なわれていたラグビーフットボールに似た球技。1チーム14人。raffは「ひったくる」という意味で「スナッチボール(snatch ball)」と英訳されている。1910年代に入ってベルリンの女性団体が女子用にアレンジ、「トーアバル(torball)」を生み、さらに19年、ドイツの体育教官カール・シュレンツがトーアバルを改良してハンドボールとした。いずれも屋外スポーツ。
トーアバルが女子向けの球技であったことから、ハンドボールは「女子の球技として発達した」といわれるが、正確ではない。むしろラフバルの勇壮さ、豪放さを持ち合わせているといってよい。この精神は室内(7人制)にも受け継がれている。

ランキング ranking

順位付け。

リスタート

反則のあとフリースローから攻撃再開すること。スローインやゴールスローからのシーンは当てはまらない。

リスタート

re-start。失点のあと相手が帰陣するよりも早くスローオフして攻撃を仕掛ける動き。

リバウンドボール rebound

放たれたシュートがGKゴールに当たってフィールドに跳ね返ってきたボール。

レッドカード

レフェリーによって失格を示される赤色のカード。カードの大きさは12㎝×9㎝と規定されている。イエローカードとともに「ペナルティカード」と呼ばれる。

レフェリー referee

審判員。現行では2人によって試合が進められ、全般の管理、ルール違反の判定を行なう。2人のレフェリーは互いにサイドを変えるため動き「コートレフェリー」「ゴールレフェリー」と名付けられた立ち場を受け持ちあう。2人の権限は同等。

レフェリーボール

レフェリースロー(=後掲)に同じ。

レフェリースロー

両チームがボールを奪いあい、どちらとも判定がつかなかったあと、両チーム1人ずつが向かいあい、レフェリーが、その中間にボールを投げあげ“最高点”に達した時、競技再開となる。

レフェリーウェア

レフェリーが着用する衣服で黒一色が望ましいとされているが、現代はそれ以外の色も認められ、世界選手権などでは独自のデザインが多くなっている。日本ハンドボール協会制定のウェアもある。

レフェリング

レフェリーが試合の管理を行ない、選手の行動を公平に“監視”すること。

レ(リ)ジョナルゲームズ regional games

国際オリンピック委員会が、4年にいちど、地域的な国際競技会として開くことを認めている大会。アジア競技大会パン・アメリカンゲームズアフリカンゲームズ地中海競技大会などがあり、いずれもハンドボールは正式競技として実施されている。

リージョナル登録

日本ハンドボール協会のチーム登録種別の1つ。都道府県内大会だけに参加資格があり、予選を含んだ国民体育大会には参加できない。

レギュラー

一般的にそのチームで常時試合に出場する主力選手を指す。

レギュラーシーズンマッチ

定められた期間に行なわれる公式試合。

レギュレーションマッチ

組織によって規定され義務づけられた特別の試合。「入れ替え戦」が代表的なケース。

リマッチ rematch

試合のやり直し。屋外コートの試合で荒天に見舞われ途中中止となり、改めて最初から再試合するケースが多い。北京オリンピックアジア予選の再試合でもこの表現が使われた。

連勝

1つのチームが公式戦で勝ちつづけること。国内で高い評価を得ているのは男子・芝浦工業大学(東京)による全国タイトル6個を含む47連勝(59年7月~60年11月)、女子・大洋デパート(熊本)による全国タイトル16個を含む51連勝(68年8月~72年12月。地方大会は含まず)。このほか、51年から52年にかけての名古屋市立桜台高校(男子11人制)の対高校チーム53連勝、日本体育大学女子チームの対学生89連勝(61年~68年)、大阪体育大学男子チームの対学生69連勝(92年~94年)などが話題となった。
いずれも日本ハンドボール協会やチーム側からの発表ではなく、マスコミによって調査、報道されたもの。引き分けをはさんでの無敗記録は「連勝」としない。

レンタル rental

チーム間の合意に基づく選手の期限付き移籍をいう俗語。

リプレースドプレーヤー制度

Replaced Player。オリンピックや世界選手権など参加人数が制限されている大会で、期間中に登録を入れ替えて出場できる選手をあらかじめ届け出ておく制度。
大会によって回数や人数は異なるが通常は最大2回、各回1~2人。届け出る選手数は25~30人が一般的。入れ替わった選手の再入れ替えはできない。登録・記録用紙などでの英文略称はRPL。

リザルト

試合結果のこと。

レトロオリンピック retroolympic

懐古調の総合競技大会として、2003年からドイツのスポーツ団体が始めた。2年おきに開かれている。ハンドボールは「男子11人制」が実施され、旧東ドイツ勢のクラブが多数参加する。

リターンパス

進んでいる(走りこんでいる)方向と逆の方向へ送るパス、そのプレー。

立教大学(東京)

第2次大戦直後、同大学体操部のなかで活動を行なう異色のスタートを切り、1946年11月正式に「部」として独立、47年3月発足した同大学の体育会の設立メンバーとなる。関東学生リーグ加盟は47年春で秋以降の2部制導入を促した。50年春1部で初優勝、51年秋の優勝によって東西学生王座決定戦へ初参加、学生界屈指の実力校となった。OBを加えた「セントポール」が52年の全日本総合選手権優勝を果たし、この流れは50年代の「全立教」へ引き継がれた。62年の世界学生選手権へ参加した選手が、ヨーロッパの最新技術を持ち帰り母校の充実に活かし、7人制(室内)の戦術・技術史上特筆されるべき足跡を残している。大学チーム全盛期の最後を飾る強豪だ。全日本学生選手権優勝2回、全日本(東西)学生王座決定戦制覇3回、関東学生リーグ優勝10回。

「陸軍戸山学校」

校内の体育実技として1930年代初期からハンドボール(11人制)が「投球戦」の名称で採用し、33年2月に規則書(ルールブック)を発行した。22年日本に伝来後、学校体育での実施以外で活動された貴重な記録である。
同校は1875年に独立し、1920年代から競技スポーツの導入に積極的な姿勢を示し、ハンドボールも「球入れ競争」型のスポーツの1つとして評価を得ていたとされる。

リマニッチ Ivica Rimanic

イヴィツァ・リマニッチ。06年4月から07年10月まで日本男子代表監督。クロアチア、ノルウェーの両国籍を持ちヨーロッパ、アジアで代表チーム、有力クラブを指導してきた。来日前はサウジアラビア代表監督。56年11月ユーゴスラビア(旧国家)生まれ。

リオ・デ・ジャネイロ・オリンピック

2016年8月5日から21日まで開かれる第31回夏季オリンピック。ハンドボール(男女)などの28競技が行なわれる。
「リオ」はブラジル南東部の州、世界的な観光地。南米でのオリンピックは初。ハンドボール会場はオリンピック公園に特設される「ホール4」の予定。16年大会は東京も立候補していたが落選。

ローリングオフェンス rolling offence

攻撃方法の1つ。コートプレーヤー全員があらかじめ打ち合わされている位置を連続的に移動しながら相手守備陣を揺さぶり、マークのずれを誘い攻撃チャンスを生み出しつかむ方法。

ルーキー rookie

新人選手。初心者の意味もある。

ロスター roster

登録選手名簿。一般的に名簿。

ラウンドロビン round robin

総当たり戦(いわゆるリーグ形式)のこと。駒鳥(robin)が木々を飛び回る姿から1チームが参加している各チームと次々に競技する意へ転じた。1回総当たりはシングルラウンドロビン、2回総当たりはダブル…、3回総当たりはトリプル…と呼ばれる。

RPL

リプレースドプレーヤーの英文略記。

ルール

規則、一般的には競技規則。原型は1946年7月、新結成の国際ハンドボール連盟によって作成され「47年版」と呼ばれた。11年ぶりの見直しだった。現行は「2010年版」。「国際競技規則」(rules of the game)はフランス語、ドイツ語、英語で発行され、解釈の相違が生じた場合は英語版を優先する。改訂は2010年までは4年ごとに国際ハンドボール連盟総会で承認されていたが、最近は総会を待たずに施行されるケースも多い。
日本で最初のルールは国際アマチュアハンドボール連盟制定の36年版。47年版の採用は50年秋。草創期の19年から約15年間は20年ベルリン体操連盟の手がけたルールを基本とし、学校体育向きに工夫されていた。日本で最初のルールブックは19年7月、日本陸上競技連盟によって草案として発表された。7人制(室内)ルールは1938年に全訳されたが、日本ハンドボール協会が正式に公表したのは1952年2月。

ルールブック

競技規則書。日本ハンドボール協会は30年代後半、設立の準備を進める一方、1937年4月に36年版の国際競技規則を翻訳し、全国の体育関係者へ領布した。それ以降、原則として2~4年ごとに発行、現在は「競技規則必携」(解説書)も刊行されている。日本最古のルールブックは35年7月19日、日本陸上競技連盟によって発表された。28年版の訳書という。それ以前は、学校体育用に要点を書いた簡単な配布物が多かった。最新版は電子版で2015年4月1日に発行。

ルーリング

ruling。会議などの裁定をいうが、スポーツ界では主にルール・審判分野の専門部会・委員会などの裁定、決定を指す。

ランナーアップ runner up

第2位のチーム。個人成績などで第2位の選手。次点。

ランニング・タイム running time

通算時間。試合開始からの経過時間を示す場合、日本では前、後半で分け「後半12分」などと表記(発表)し、マスコミの報道もそれにならうが、ヨーロッパなどでは「42分」とする。

ロシア

1991年、劇的なソビエト連邦(ソ連)の崩壊により独立した15共和国の1つとして“誕生”。93年国際ハンドボール連盟に加盟、ソ連時代のような挙国的な強化体制は弱まったが、男子は00年シドニーオリンピック、93、97年の世界選手権、女子は01、05年の世界選手権で優勝を飾り伝統の力を見せた。ソ連(ロシア)協会の設立は1928年。1909年ごろからモスクワ、レニングラード、ロストフ・ドン、クラスノダールなどで11人制、7人制ともに行なわれていたという。その歴史を引き継いで新・ロシア協会は2003年12月「75周年」を祝った。